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スコアリングーシステムの基本的なしくみ

この全情連のような信用情報センターへの問い合わせとは別に、業者独自に顧客の返済能力の審査もします。それげ使われるのがスコアリング・システムと呼ばれるものです。これは顧客の属性に点数を付けて、その人の与信能力(融資限度)を測るもので、いくらまで貸せるかを評価します。たとえば、年齢、結婚の有無、家族構成、勤務先とその規模、役職、勤務年数、業種、年収、住居の種類(持ち家か賃貸かなど)、居住年数、資産内容(預金、株式、不動産)などです。

これらの項目に1~10までの点数を付けて、その合計点で融資額を評価するわけです。いまではこのシステムは、消費者金融業者はもちろん、クレジットカード会社なども活用しています。というのも、すでにたくさんの事例がストックされたことと、コンビュータの長足の進歩により、さまざまなことを予測することができるようになってきたからです。たとえば、次のようなことがわかるようになりました。

・20代の若者は案外信用できる
・同居家族が4人以上の人はまじめである
・勤続年数が半年未満の人は失業することが多い
・夫に融資する場合、妻との年齢差が小さいほど安全である
・中小企業に長く勤めている人のほうが信用できる

貸金業者側では、こうしたプログラムを組み込んだ「審査システム」を構築し、貸倒れをできるだけ減らそうとしています。

銀行が消費者金融に参入してきた狙いは?

2000年9月18日に営業をスタートさせました。こちらの金利も15~18%と低いのが特色です。貸出金額は30万~300万円で、カードは自宅に郵送してくれます。出金はUFJグループの銀行ATMやノンバンクのCD、ATMが利用できますが、ローソンのマルチメディア端末でも申込みや出金が可能になっています。また、一般の消費者金融と違うのは、審査に通れば新規利用者でも150万円までの融資を行う点です(消費者金融は最高50万円までが多い)。こちらは2004年3月期に貸付残高3000億円、営業利益170億円を予定しています。さらに、東京三菱銀行もアコムと組んで「キャッシュワン」を設立し、個人ローン分野に参入しました。

どの金融グループも調達金利の安さを武器に、消費者金融専業者やクレジットカード会社に対抗して、消費者金融事業に挑戦しようとしています。銀行はこれまで、個人向けの無担保小口ローンに関しては消極的でした。戦後の経済状況のなかで、「担保主義」が当然のこととされ、無担保融資に関してノウハウが不足していたことや、小口で資金回収コストが割高であることから、消費者金融を手がける動きはなく、企業への事業資金貸付けや運用によって融資を拡大させてきたのです。それだけでも、当時は十分に利益を伸ばしていくことが可能でした。

ところがバブル崩壊以降、経済のデフレ化か進み、設備投資の縮小などで企業などの資金需要が低迷し、運用面でも超低金利が長引くなかで収益をあげられる先が見当たらないという状況に陥りました。そのなかで投資先として、10%以上の金利収入が得られる消費者金融が脚光を浴びてきたというわけです。しかし、審査体制など、銀行業務とはまったく異なった事業インフラ、ノウハウを必要とする消費者金融の業務に、これまでの蓄積がない銀行は容易に入ることはできませんでした。そこで各行とも消費者金融業界の大手と組んで、ATMの開放や保証業務の委託といった業務提携やJV(ジョイント・ベンチャー)などの形態で進出したのです。

メガバンクのパートナーである大手消費者金融のほうも、銀行の看板を借りて、融資事業の拡大を図ろうとしています。新しい合弁会社では、審査や管理は消費者金融側が中心になって行うところが多く、銀行は資金調達と名義を貸しているというのが実態です。しかし、新規参入した個人向けローン会社の肝心の業績は若干上向きになったとはいえ、いまだに苦戦している模様です。というのも、最初に見込んでいた年収500万~800万円という、従来の消費者金融の顧客層よりも少し豊かな人たちがなかなか利用してくれないからです。それでも、利用者からすれば、なんといっても、金利が一般の消費者金融の26~28%に比べれば10%近く低いわけで、その分返済に苦しむことも少なくなります。

名前を変えて融資を狙う悪質な借り手

問題となっているのは、悪質な多重債務者の存在です。これらの人たちは、あの手この手で消費者金融業者のチェックを潜り抜けて融資を受けようとします。信用情報センターへの氏名の登録は、以前はカタカナだけだったために、そこを悪用する輩が多かったのです。その方法は、融資の申込みをする際に、自分の名前を別の読み方で書くというものです。たとえば、「田中康二」という名前(あくまでも参考ネームです)だったとしましょう。本当は「タナカコウジ」と読むのですが、これを「タナカヤスジ」と書いて別人になりすまして申込みをするわけです。

信用情報センターには、すでに「タナカコウジ」とカタカナで登録されていますから、「タナカヤスジ」で登録されれば別人になりすますことができたのです。こうした方法で、まんまと10社くらいの業者から借り受ける者も多くいたそうですから驚きです。しかし、この小細工も1997年からは漢字での登録が始まりましたから難しくなっています。それでも、名前の細工は続いています。最近も悲惨な事件が関東地区でありました。若い女性が名義上の夫とその友人たちに石で頭を割られて殺されるという事件です。

この夫はサラ金から多額の借金をしている多重債務者でしたが、何人かの女性と結婚を繰り返して婿に入り、苗字を変えて借金を繰り返していたというのです。ところが、この女性がその悪事を知って警察に通報しようとしたため、逆上した夫に殺されることになったようです。それにしても、偽装結婚までしてお金を引き出そうとしているのですから、恐ろしい世の中になったものです。また、貸し手が警戒するのは、借入額が少なくても短期間に多数照会されている場合です。こうしたケースでは、多重債務者の疑いがあるので、業者は十分に注意しているといわれます。

返済能力の把握はどのように行われているのか?

債務者の性格を知ることは、その後の回収や管理にもかかわる重要な点です。その人の言葉遣い、態度、服装などから、どういった人柄、人間性なのかを把握します。また、態度にいら立ちや強引さ、高慢さ、ハッタリがみえる人は浪費家の可能性があるので注意が必要と業界ではみています。また、本人追跡のもっとも重要なツールとしては携帯電話があります。申込者を行方不明にさせないために、初めに携帯電話番号を聞いておくことが肝心です。本人が姿をくらませても携帯電話はそのまま持ち歩いている場合が多いので、捕捉しやすいという理由があります。

逆に、プリペイド型の携帯電話を使用している人は捕捉されることを嫌っている要注意人物ということもできます。返済能力についてのチェックポイントは、次の項目に譲ります。本人の確認(特定)ができれば、次は返済能力の有無の判定です。消費者金融業者は、的確な融資限度額を設定するために、債務者の収支、債務や社会的地位などの状況を把握してその人の支払能力を評価します。債務不履行による貸倒れにもっとも結びつきやすいのは「多重かつ多額の債務」を持っている人といわれています(いわゆる多重債務者)。

ここ2~3年、長引く不況でリストラを余儀なくされて失業したり、給料やボーナスを減らされる人たちが増えています。その結果、予定した支払いが滞って多重債務者に転落し、自己破産に追い込まれる人もいます。したがって、消費者金融業界にとっては、この返済能力の把握が大変重要な要件となってきました。消費者金融業者が多重債務者を見分ける方法としてもっとも有効と考えているのが、信用情報センターへの問い合わせです。とくに、この業界のセンターである全情連(全国信用情報センター連合会)は個人情報の精度の高さで定評があります。

消費者金融業者はこのセンターに登録する義務があり、借入れと返済のすべてを登録しなければなりません。ですから、ここに問い合せれば、融資申込者が何社の消費者金融業者から借入れをしているかがすぐにわかるのです。大手業者の場合には、4社以上から借入れをしている人に対しては、それ以上の融資をしない決まりになっています。中小業者はその縛りが緩くなっており、6社くらい借りていても融資してくれるところがあります。いずれにしろ、ここできちんとチェックができれば、多重債務者を排除できるしくみになっているのです。

200億円もの大金を投入

このような人々の話題にのぼるCMを制作するために、消費者金融各社はたくさんの広告宣伝費を使っています。2001年度の電通の調べでも、消費者金融のテレビCMやスポットCMが増えていると報告しています。業界最大手の武富士の広告宣伝費は142億6000万円で、営業収益4190億8600万円に対する広告宣伝費比率は3・4%を占めています。アイフルの広告宣伝費は217億4700万円で、営業収益4494億5800万円に占める割合は4・8%となっています(両社とも2003年3月期実績)。アイフルはテレビCMを「ブランド戦略」と位置づけています。

テレビCMの成功によって、無担保ローンの新規獲得件数が業界トップに躍り出た同社では、消費者金融大手のイメージはテレビCMの効果で改善されてきていると分析しています。すでにふれたように、かつて消費者金融は、貸金の強引な取り立てをマスコミで報道されるなどして、テレビCMの出稿を止められていた時代がありました。当時は駅前でポケットティッシュを配るなど、地道な広告活動をするほかに方法がありませんでした。ところがその後、バブル崩壊でほかのテレビCMが激減したため、1999年から消費者金融のテレビCMが解禁されたのです。そこで消費者金融各社は、それまでの強引で怖いイメージを払拭することを目ざして、親しみやすさを前面に打ち出すようなCMを放映してきました。

しかし、長引く景気低迷が逆風となり、消費者金融でお金を借りる人々は、借入金額を減らしたり、借入れを思いとどまったりして、生活防衛をし始めました。また、新規に消費者金融でお金を借りようとする人も減り始めました。一方、消費者金融各社でも、リストラや失業率が増加するなどの影響から、貸倒件数が増加してしまい、利益の伸び悩みが始まったのです。さらに、2002年12月にはNHKと日本民間放送連盟の第三者機関「放送と青少年に関する委員会」は、17時から21時の消費者金融CMの放映自粛や、CMで金利などをわかりやすく表示するようにとの要望を出しました。ふたたび、テレビCMをしにくい状況が生まれているのです。

このようなこともあって、消費者金融各社は、テレビCM出稿の全面的見直しを始めています。「放送と青少年に関する委員会」の要望に沿って、ゴールデンタイムでの放送を控える方向で調整を行っていますが、これには経費削減もあわせて実現させようとの狙いがあります。また、アイフルでは営業コストの見直しを始めました。たとえば、比較的低コストで行われていたポケットティッシュの配布に関しても、さらに単価を見直すことでコスト削減の目標値も決めて取り組んでいます。それにより、伸び悩みをみせ始めた利益率の回復を目ざそうというのです。

テレビCMの王様級となったサラ金のコマーシャル

現在、消費者金融のテレビCMは頻繁に放映され、社会現象も起きるほどの影響力があります。チワワ犬の愛くるしい瞳が話題になり、チワワを飼いたい人が増えるというブームまで引き起こしたのがアイフルのCMです。こうしたチワワ人気をみてキャラクターグッズのサンリオは、チワワのキャラクター商品(クッションやタオル)を販売しました。プロミスは1999年から、シンボルマークの黄色い看板をアピールするため、コマーシャルに城下町にそびえ立つ看板を背景に、「お城の姫と爺」を登場させました。爺の寒いダジャレ「相談です」(そうなんです)にツッコミを入れる姫こと三田あいりは、翌年には歌手デビューするほどの人気者になりました。

最近では同社は、若い社会人向けにお金の相談ができるプロミスというイメージで、バンドの向風が歌う「一人じゃないから~」というリフレインのCMソングを流しています。これも好評です。アコムはかつて、「ラララ~、むじんくん」と歌いながら地球にやってくる3人の宇宙人ギャラをCMに登場させて話題になりました。緑色のドーランを塗った宇宙人役の1人、セイン・カミュは、不朽の名作『異邦人』を書いたフランスの小説家、アルベール・カミュの孫です。セイン・カミュも、いまではお茶の間の人気タレントになっています。さわやかな笑顔で応対するアコムのお姉さんこと小野真弓は、このCM人気に火がつき、これをきっかけに週刊誌のグラビアを飾り、写真集は6万部を売るほどの売れっ子になりました。

レイクのCMは、パソコンを買いたがる夫に、レイクのビルの屋上から可愛いハコフグ型の飛行船がハタハタと降りてきてお金を貸し出そうとします。すると、妻がクジ引きでパソコンを当ててしまい、出る幕がなくなった飛行船がスゴスゴと元の屋上に帰っていく、というものでした。もっとも印象深いものといえば、やはり武富士のテレビCMでしょう。黒いレオタード姿の女性たち(いまでは武富士ダンサーともてはやされる存在)が、エネルギッシュに踊るダンスシーンで知られています。その振り付けをスポーツクラブのインストラクターたちが覚えて、イベント会場などで踊ると、かなり盛り上がるそうです。