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楽しみな計画を立てながら不意の出費にも対応

先の町工場経営者の奥さんは、孫たちの誕生日などのお祝いは本人に手渡さず、「貯金しておくからね」といって、その通帳を自分の手元に置くようなしっかり者です。「正月のお年玉、お誕生日や七五三、入学のお祝い金をすべて貯めておき、高校か大学入学時に孫たちにプレゼントしようと思っています」という、楽しみな計画を立てています。もちろん、孫たちがプレゼントされるときには、お祝い金に利息が付いているわけです。孫たちは、自分かもらったお年玉などをすぐに使うことはできませんが、お金が貯まっていくことは嬉しいことに違いありません。

しかも、祝い金を一律1万円とすれば、孫が成人したとき1人当たりの合計金額は何十万円にもなることでしょう。それをいちばんお金が必要なころにプレゼントしてもらえるわけです。またあるとき、その奥さんは、「じつは数年前、舅が介護ホームに入所する際、手持ちの費用が足りなかったので、孫の貯金を使って契約者貸付けを利用しました」と、こっそり打ち明けてくれました。現在はモノの値段が下がるデフレの時代ですから、数万円でもいますぐに使い道のないお金ができれば定期貯金にしておくことです。

2、3万円不意の出費が必要になったとき、契約者貸付けを利用して超低利で借り入れればいいのです。金利の高いところで新たに借りれば、たとえ少額であっても利子はあっという間に増えてしまいます。それを考えれば、郵便局の「ゆうゆうローン」は、本当に有利でお得です。また、注目したいのは、クレディセゾンの「優遇金利バンクローン」です。これは、オリックス信託銀行との提携サービスで、利用できるのはセゾンカード会員に限られますが、非常にお得な借換ローンといえます。たとえば、先の友人がこのローンを使ったとすると、元本130万円を8・5%の低率で借換えができます。

しかも、セゾンカードのショッピング利用額に応じてローン金利か下がるしくみで、最低金利は6・5%まで下がります。借換えは300万円までの枠でできますから、他社の借入分も十分に対応できます。友人の場合を計算してみますと、1ヵ月の金利負担が2万円近くあったものが、このバンクローンのおかげで9082円と約2分の1に減り、返済額(毎月の総額)も4万8000円から3万円に減りました。さらに、支払日が毎月4日(セゾンカードの口座引落日)に統一されたことで、非常に楽になりました。このほか、ジャパンネットバンクの「借り入れおまとめローン」は貸出金利が15%ですが、300万円までの枠があります。

口座数と残高は営業資産

それに対して消費者金融などの場合は、もっぱら貸出業務だけを行い、預金業務はやっていません。そのため「ノンバンク」と呼ばれたりします。ノンバンクはお金を貸し付けて、その金利で儲ける一種の手数料ビジネスといっていいでしょう。ですから、ノンバンクにとっては、貸出用の何百万の口座数と貸付残高は営業資産となるのです。つまり、口座と残高があれば毎月金利を生み出してくれ、それだけで収益になります。経営が危うくなるとまず消費者金融業者は、自らの資産としてその口座と残高を評価計上し、他社に売りに出そうとします。または再建の支援を仰ぐときに使ったりします。

そして、それを買い取った新しい経営者は、なにごともなかったかのようにその資産を使って収益をあげていくのです。ですから、借り手側の借金が棒引きになるというのはまったくの幻想といえます(気持ちはよくわかりますが)。それどころか、新しい貸し手に代わった途端に、金利が上がったり、与信が厳しくなったりといった変化が起こることさえあります。なんといっても、貸し手にとって借り手は利益を生み出す「金の卵」ですから、決して棒引きなどしてくれないのです。

消費者金融業者の経営破綻の例は、1998年に「ほのぼのレイク」がバブル期に行った絵画投資のツケで経営に行き詰まりましたが、その口座と残高をそのまま受け継いだのが外資系の「GEキャピタル」でした。同社は、その直前にコーエークレジットも買収しています。一方、プロミスは、シンコウ、リッチなど中堅の消費者金融を次々に買収して子会社化しました。アイフルも日本ベネフィット、ハッピークレジット、スカイ、信和などを次々と傘下に収めています。今後も、資金力のある大手が中堅・中小業者をグループ化する動きは活発化するものと思われます。

新しい銀行が競って新商品を開発

借換ローンには、大手消費者金融や銀行、信用金庫が積極的な動きをみせ始めています。たとえば、ジャパンネットバンク、島根銀行、大分銀行、八千代銀行、労働金庫など、数多くの金融機関がサービスを展開しています。消費者金融系の場合、借入件数がそれほど多くないケースでは、確定申告の写しや給与明細を提出すれば、かなり簡単に一本化に応じてくれるようです。しかし、銀行系となると、やはり貸倒れを警戒してかなり審査が厳しくなります。持ち家であることや、住宅ローンとセットであることを条件とする銀行、さらには同一勤務先の勤続年数3年以上を条件にするところもあります。

また、これらいくつかを条件として掲げるところもありますが、重度の多重債務者の場合にはかなり難しいでしょう。オリックス信託銀行はいくつかのローンを一本化できる借換ローンを扱っています。金利は年9・8%で、限度額は300万円まで。この金額以内ならば、複数の無担保ローンの借換えも受け付けています。あおぞら銀行もローンを一本化できるカードローンを扱っています。年利8・7%(300万円借りた場合)が最低金利で、上限が年利17・8%(50万円借りた場合)となっています。

どの銀行も審査があり、融資適格者と見なされなければ借りることはできませんが、あおぞら銀行では、「銀行が消費者金融会社と提携して、ローンの申込みをした人の信用力を審査しています。返済可能な範囲で貸し出していますので、貸倒リスクが低く、低利で貸し出すことができるのです」(カードセンター)と説明しています。このところ全国的に、消費者金融の利用者でも借換ローンに応じてくれる金融機関が増えています。

多様化するヤミ金業者の貸付方法

最近では、「押貸し」というとんでもないやり方で被害者を増やしています。それは、被害者が融資の申込みもしないのに一方的に銀行口座に1万円を振り込ん分、その1週間後に利子を付けて2万円を返せと、振込額の倍の返済を要求するものです。そのほかにも、「090金融」という、携帯電話の番号だけを新聞などに掲載して携帯電話を使って取り立てを行う業者も現れています。貸金業無登録の彼らは、警察の摘発を逃れるために、事務所を置かず、携帯電話だけを使って商売をしています。また、家具のリースの形式をとる「家具リース金融」や金券販売の形式をとる「チケット金融」など、さまざまな業者が登場しています。

いわゆる消費者金融業者とヤミ金の違いとしては、ヤミ金の場合には、途方もない高金利というほかに、契約書面の交付はほとんどなく、返済期日が1週間から2週間と非常に短いことです。消費者金融の場合には、一般に1ヵ月間の猶予がありますが、ヤミ金では極端に短くなります。ヤミ金業者は、法定金利を守らないくらいですから、取り立てについても法的手段で回収をせず、もっぱら暴力的かつ脅迫的な取り立てを行っています。また、その取り立ては本人ばかりでなく、家族や親族、会社にまで及び、その暴力的行為に耐え切れなくなった債務者が自殺や夜逃げに追い込まれるケースもあり、大きな社会問題となっています。

そして、こうした違法業者の後ろにいるのが暴力団である場合が多いのも、このヤミ金の特徴といえるでしょう。つい最近も、広域暴力団の傘下のヤミ金組織が警察に摘発され、マスコミで大きく報道されました。この組織は、全国に約1000の店舗を構えて、アルバイトの若者を店員に仕立てて営業を行い、毎月数億円にのぼる収益をあげていたといわれています。この組織は、報道などによれば、20~30店舗ごとにセンターをつくって顧客情報を管理するなど、バックオフィス的役割を果たしていたということです。

過酷な取り立てで社会問題化

また、商工ローンは過酷な取り立ても社会問題となりました。当時、商工ローン最大手の日栄では、担当者が債務者や保証人に、「目玉や腎臓、肝臓を売って返済しろ」と電話で執拗に恐喝して批判を浴びました。このような激しい取り立てを行ってきた商工ローンですが、バブル崩壊以降、その数は減少しています。会社数は90年3月末には約5500社あったのですが、99年3月末には約3600社になりました。貸付金額は多い時期で4兆円に達していたのですが、99年には2兆7600億円まで減りました。

商工ローンのイメージは地に落ちましたが、中小企業や自営業者にとって便利な存在でもあります。たとえば、「入金するはずだった売掛金が回収できそうになく、手形が不渡りになるので、3日以内に50万円用意したい」などということは、自営業者ならよくあることです。しかし、公的融資では貸付けまでに日数がかかりすぎ、銀行は融資限度額。いっぱいで借りることができません。そんなどき、商工ローンならすぐに融通してくれるので、自営業者は資金繰りの厳しい数日間を乗り切ることができるのです。

また、商工ローンの借入金は短期で返済するならば、高金利でも利子が大きくふくらまず、売掛金などの回収などがうまくいけば、すぐ返済して大きな負債にならないですみます。 最近、商工ローンでは、初めての借入れならば、無担保、保証人なし、30日間無利息というものが登場しています。金利も7%ぐらいの低利で、1000万円まで貸し出すところも出てきました。これは消費者金融と同様に、できるだけ気安く借りてもらい、顧客数を増やしたいという、商工ローン業者側の意図があります。こうした新しいサービスで、この業界はイメージダウンで離れた利用者を呼び戻すことに力を入れようとしています。

注目される自治体主導の借換ローン

こうした動きに対して、消費者金融側はどのように考えているのでしょうか。アイフルによると、「アットローンやモビット、東京三菱キャッシュワンなどの15~18%の無担保ローンは、消費者金融の利用客とは競合しない」としています。というのは、もしも積極的に消費者金融の顧客を取り込んでいくならば、貸倒リスクが増加していき、金利18%程度では採算がとれないからです。また、大手消費者金融は多くの支店やATMを持っていて利便性が高いことから、恒常的に顧客を確保することが可能です。

一方、銀行系消費者金融はいずれも店舗を持たず、インターネットや電話による貸出業務に依存することから、その将来の市場規模は2000億~3000億円程度とみられ、銀行系消費者金融は大手消費者金融の脅威とはならないだろうと予測しているのです。銀行は貸倒リスクに備えて個人信用情報機関を活用し、利用者の返済能力をみて貸し出すという方式をとっているので、既存の消費者金融と与信面での違いはほとんどありません。複数のローンを抱え、もはや借換えをしても返済能力が限界とみれば融資を断りますので、銀行でのローン一本化は不可能となります。そこで、深刻な多重債務を抱える人を積極的に救済しようという制度を設けた自治体があります。

これが全国に普及すれば、自己破産も最少限に抑えられることでしょう。岩手県消費者信用生活協同組合(信用生協)では、県内53市町村と弁護士や司法書士などと連携して、負債整理を目的とした融資「スイッチローン」を行っています。融資限度額は500万円まで、返済期間は最長で10年間、金利は付きませんが、融資額の1割を信用生協に出資することと、保証人を1名以上付けることが融資の条件となっています。この制度は、岩手県内の自治体が信用生協に貸出資金を預託し、ローン返済が困難になった人を紹介します。そして弁護士が相談に乗りながら、信用生協は債務整理のための資金の融資を行うというものです。また弁護士は消費者金融などの業者と折衝を行うというものです。