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多様化するヤミ金業者の貸付方法

最近では、「押貸し」というとんでもないやり方で被害者を増やしています。それは、被害者が融資の申込みもしないのに一方的に銀行口座に1万円を振り込ん分、その1週間後に利子を付けて2万円を返せと、振込額の倍の返済を要求するものです。そのほかにも、「090金融」という、携帯電話の番号だけを新聞などに掲載して携帯電話を使って取り立てを行う業者も現れています。貸金業無登録の彼らは、警察の摘発を逃れるために、事務所を置かず、携帯電話だけを使って商売をしています。また、家具のリースの形式をとる「家具リース金融」や金券販売の形式をとる「チケット金融」など、さまざまな業者が登場しています。

いわゆる消費者金融業者とヤミ金の違いとしては、ヤミ金の場合には、途方もない高金利というほかに、契約書面の交付はほとんどなく、返済期日が1週間から2週間と非常に短いことです。消費者金融の場合には、一般に1ヵ月間の猶予がありますが、ヤミ金では極端に短くなります。ヤミ金業者は、法定金利を守らないくらいですから、取り立てについても法的手段で回収をせず、もっぱら暴力的かつ脅迫的な取り立てを行っています。また、その取り立ては本人ばかりでなく、家族や親族、会社にまで及び、その暴力的行為に耐え切れなくなった債務者が自殺や夜逃げに追い込まれるケースもあり、大きな社会問題となっています。

そして、こうした違法業者の後ろにいるのが暴力団である場合が多いのも、このヤミ金の特徴といえるでしょう。つい最近も、広域暴力団の傘下のヤミ金組織が警察に摘発され、マスコミで大きく報道されました。この組織は、全国に約1000の店舗を構えて、アルバイトの若者を店員に仕立てて営業を行い、毎月数億円にのぼる収益をあげていたといわれています。この組織は、報道などによれば、20~30店舗ごとにセンターをつくって顧客情報を管理するなど、バックオフィス的役割を果たしていたということです。

過酷な取り立てで社会問題化

また、商工ローンは過酷な取り立ても社会問題となりました。当時、商工ローン最大手の日栄では、担当者が債務者や保証人に、「目玉や腎臓、肝臓を売って返済しろ」と電話で執拗に恐喝して批判を浴びました。このような激しい取り立てを行ってきた商工ローンですが、バブル崩壊以降、その数は減少しています。会社数は90年3月末には約5500社あったのですが、99年3月末には約3600社になりました。貸付金額は多い時期で4兆円に達していたのですが、99年には2兆7600億円まで減りました。

商工ローンのイメージは地に落ちましたが、中小企業や自営業者にとって便利な存在でもあります。たとえば、「入金するはずだった売掛金が回収できそうになく、手形が不渡りになるので、3日以内に50万円用意したい」などということは、自営業者ならよくあることです。しかし、公的融資では貸付けまでに日数がかかりすぎ、銀行は融資限度額。いっぱいで借りることができません。そんなどき、商工ローンならすぐに融通してくれるので、自営業者は資金繰りの厳しい数日間を乗り切ることができるのです。

また、商工ローンの借入金は短期で返済するならば、高金利でも利子が大きくふくらまず、売掛金などの回収などがうまくいけば、すぐ返済して大きな負債にならないですみます。 最近、商工ローンでは、初めての借入れならば、無担保、保証人なし、30日間無利息というものが登場しています。金利も7%ぐらいの低利で、1000万円まで貸し出すところも出てきました。これは消費者金融と同様に、できるだけ気安く借りてもらい、顧客数を増やしたいという、商工ローン業者側の意図があります。こうした新しいサービスで、この業界はイメージダウンで離れた利用者を呼び戻すことに力を入れようとしています。

注目される自治体主導の借換ローン

こうした動きに対して、消費者金融側はどのように考えているのでしょうか。アイフルによると、「アットローンやモビット、東京三菱キャッシュワンなどの15~18%の無担保ローンは、消費者金融の利用客とは競合しない」としています。というのは、もしも積極的に消費者金融の顧客を取り込んでいくならば、貸倒リスクが増加していき、金利18%程度では採算がとれないからです。また、大手消費者金融は多くの支店やATMを持っていて利便性が高いことから、恒常的に顧客を確保することが可能です。

一方、銀行系消費者金融はいずれも店舗を持たず、インターネットや電話による貸出業務に依存することから、その将来の市場規模は2000億~3000億円程度とみられ、銀行系消費者金融は大手消費者金融の脅威とはならないだろうと予測しているのです。銀行は貸倒リスクに備えて個人信用情報機関を活用し、利用者の返済能力をみて貸し出すという方式をとっているので、既存の消費者金融と与信面での違いはほとんどありません。複数のローンを抱え、もはや借換えをしても返済能力が限界とみれば融資を断りますので、銀行でのローン一本化は不可能となります。そこで、深刻な多重債務を抱える人を積極的に救済しようという制度を設けた自治体があります。

これが全国に普及すれば、自己破産も最少限に抑えられることでしょう。岩手県消費者信用生活協同組合(信用生協)では、県内53市町村と弁護士や司法書士などと連携して、負債整理を目的とした融資「スイッチローン」を行っています。融資限度額は500万円まで、返済期間は最長で10年間、金利は付きませんが、融資額の1割を信用生協に出資することと、保証人を1名以上付けることが融資の条件となっています。この制度は、岩手県内の自治体が信用生協に貸出資金を預託し、ローン返済が困難になった人を紹介します。そして弁護士が相談に乗りながら、信用生協は債務整理のための資金の融資を行うというものです。また弁護士は消費者金融などの業者と折衝を行うというものです。

スコアリングーシステムの基本的なしくみ

この全情連のような信用情報センターへの問い合わせとは別に、業者独自に顧客の返済能力の審査もします。それげ使われるのがスコアリング・システムと呼ばれるものです。これは顧客の属性に点数を付けて、その人の与信能力(融資限度)を測るもので、いくらまで貸せるかを評価します。たとえば、年齢、結婚の有無、家族構成、勤務先とその規模、役職、勤務年数、業種、年収、住居の種類(持ち家か賃貸かなど)、居住年数、資産内容(預金、株式、不動産)などです。

これらの項目に1~10までの点数を付けて、その合計点で融資額を評価するわけです。いまではこのシステムは、消費者金融業者はもちろん、クレジットカード会社なども活用しています。というのも、すでにたくさんの事例がストックされたことと、コンビュータの長足の進歩により、さまざまなことを予測することができるようになってきたからです。たとえば、次のようなことがわかるようになりました。

・20代の若者は案外信用できる
・同居家族が4人以上の人はまじめである
・勤続年数が半年未満の人は失業することが多い
・夫に融資する場合、妻との年齢差が小さいほど安全である
・中小企業に長く勤めている人のほうが信用できる

貸金業者側では、こうしたプログラムを組み込んだ「審査システム」を構築し、貸倒れをできるだけ減らそうとしています。

銀行が消費者金融に参入してきた狙いは?

2000年9月18日に営業をスタートさせました。こちらの金利も15~18%と低いのが特色です。貸出金額は30万~300万円で、カードは自宅に郵送してくれます。出金はUFJグループの銀行ATMやノンバンクのCD、ATMが利用できますが、ローソンのマルチメディア端末でも申込みや出金が可能になっています。また、一般の消費者金融と違うのは、審査に通れば新規利用者でも150万円までの融資を行う点です(消費者金融は最高50万円までが多い)。こちらは2004年3月期に貸付残高3000億円、営業利益170億円を予定しています。さらに、東京三菱銀行もアコムと組んで「キャッシュワン」を設立し、個人ローン分野に参入しました。

どの金融グループも調達金利の安さを武器に、消費者金融専業者やクレジットカード会社に対抗して、消費者金融事業に挑戦しようとしています。銀行はこれまで、個人向けの無担保小口ローンに関しては消極的でした。戦後の経済状況のなかで、「担保主義」が当然のこととされ、無担保融資に関してノウハウが不足していたことや、小口で資金回収コストが割高であることから、消費者金融を手がける動きはなく、企業への事業資金貸付けや運用によって融資を拡大させてきたのです。それだけでも、当時は十分に利益を伸ばしていくことが可能でした。

ところがバブル崩壊以降、経済のデフレ化か進み、設備投資の縮小などで企業などの資金需要が低迷し、運用面でも超低金利が長引くなかで収益をあげられる先が見当たらないという状況に陥りました。そのなかで投資先として、10%以上の金利収入が得られる消費者金融が脚光を浴びてきたというわけです。しかし、審査体制など、銀行業務とはまったく異なった事業インフラ、ノウハウを必要とする消費者金融の業務に、これまでの蓄積がない銀行は容易に入ることはできませんでした。そこで各行とも消費者金融業界の大手と組んで、ATMの開放や保証業務の委託といった業務提携やJV(ジョイント・ベンチャー)などの形態で進出したのです。

メガバンクのパートナーである大手消費者金融のほうも、銀行の看板を借りて、融資事業の拡大を図ろうとしています。新しい合弁会社では、審査や管理は消費者金融側が中心になって行うところが多く、銀行は資金調達と名義を貸しているというのが実態です。しかし、新規参入した個人向けローン会社の肝心の業績は若干上向きになったとはいえ、いまだに苦戦している模様です。というのも、最初に見込んでいた年収500万~800万円という、従来の消費者金融の顧客層よりも少し豊かな人たちがなかなか利用してくれないからです。それでも、利用者からすれば、なんといっても、金利が一般の消費者金融の26~28%に比べれば10%近く低いわけで、その分返済に苦しむことも少なくなります。

名前を変えて融資を狙う悪質な借り手

問題となっているのは、悪質な多重債務者の存在です。これらの人たちは、あの手この手で消費者金融業者のチェックを潜り抜けて融資を受けようとします。信用情報センターへの氏名の登録は、以前はカタカナだけだったために、そこを悪用する輩が多かったのです。その方法は、融資の申込みをする際に、自分の名前を別の読み方で書くというものです。たとえば、「田中康二」という名前(あくまでも参考ネームです)だったとしましょう。本当は「タナカコウジ」と読むのですが、これを「タナカヤスジ」と書いて別人になりすまして申込みをするわけです。

信用情報センターには、すでに「タナカコウジ」とカタカナで登録されていますから、「タナカヤスジ」で登録されれば別人になりすますことができたのです。こうした方法で、まんまと10社くらいの業者から借り受ける者も多くいたそうですから驚きです。しかし、この小細工も1997年からは漢字での登録が始まりましたから難しくなっています。それでも、名前の細工は続いています。最近も悲惨な事件が関東地区でありました。若い女性が名義上の夫とその友人たちに石で頭を割られて殺されるという事件です。

この夫はサラ金から多額の借金をしている多重債務者でしたが、何人かの女性と結婚を繰り返して婿に入り、苗字を変えて借金を繰り返していたというのです。ところが、この女性がその悪事を知って警察に通報しようとしたため、逆上した夫に殺されることになったようです。それにしても、偽装結婚までしてお金を引き出そうとしているのですから、恐ろしい世の中になったものです。また、貸し手が警戒するのは、借入額が少なくても短期間に多数照会されている場合です。こうしたケースでは、多重債務者の疑いがあるので、業者は十分に注意しているといわれます。

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